終夜ポリソムノグラフィー(PSG)検査について

滝野川病院 耳鼻咽喉科医師 小板橋佐知子

 平成25年8月より、当院でPSG検査(終夜ポリソムノグラフィー、polysomnography)ができるようになりました。これは睡眠時無呼吸症候群(SASすなわちsleep apnea syndrome)の詳しい検査です。

1) 睡眠時無呼吸とはなんでしょう?

 睡眠中に通常の呼吸が10秒以上止まってしまうことを無呼吸と言います。1時間に何回も息が止まりますと、ぐっすり寝ることができなくなり、さまざまな健康被害がでます。自覚症状としては、日中の強い眠気があります。寝てはならないところ(会議中とか)で居眠りがでてしまう、大きなイビキをかく、夜中に息が苦しくなり眼が覚める、という症状は睡眠時無呼吸症候群によく見られる症状です。
仕事の能率が落ちるだけではありません。睡眠時無呼吸がありますと、心臓や血管に負担がかかりますので、高血圧、心不全、脳卒中などを発症しやすくなります。睡眠時無呼吸症候群の患者さんでは高血圧は健常人の1.37倍、夜間心臓突然死は健常人の2.51倍、脳卒中、脳梗塞は健常人3.3倍高いといわれます。また、居眠り運転における交通事故率は健常人の7倍も高いという報告もあります。
 日本人における睡眠時無呼吸症候群の潜在患者は人口の1〜2%といわれています(20万人)。


検査の流れ

 以下が当院の無呼吸検査のだいたいの流れです。
無呼吸検査の流れ
 睡眠時無呼吸症候群の疑いの方はまず、簡易型アプノモニタという検査(原則一泊入院)をします。この検査の結果AHI(無呼吸低呼吸指数、apnea-hypopnea index)が40以上であれば相談の上、CPAP(持続性陽圧呼吸装置)などの治療に移ります。40以下の場合、無呼吸が軽度であれば、保存的対処、重度であればPSG(終夜ポリソムノグラフィ)という検査に移ります(別の日)。保存的治療には、減量、横向き寝、マウスピースなどが含まれます。PSG検査は、脳波をとりながら、確実に睡眠している時間帯の無呼吸の頻度をしらべますので、無呼吸低呼吸指数が20以上であれば保険をつかってCPAP治療をすることができます。患者さんによっては、扁桃腺摘出やいびきの手術をすすめることがあります。
 簡易アプノモニタは原則一泊入院で、口鼻の空気の流れ、血中の酸素濃度、胸や腹の動きを一晩計測します。費用は3割負担の方で約1万6千円、1割負担の方で約5千円です。お預かり金として入院時に2万円をいただいております。差額は退院時にお返しします。
 終夜ポリソムノグラフィは簡易型アプノモニタより、より精密な診断ができます。つけるモニタは@鼻口センサ、A血中酸素濃度、B胸腹のバンドまでは簡易型と同じですが、それにC脳波、D心電図、E足と顎の筋電図、F眼球運動図などです。各種センサをつけますと、下図のようになりますが、このまま、夜間のトイレにも歩いていけます。また、口鼻センサは消灯前に看護師がつけますので、あまりうっとうしくないです。 費用は3割負担の方で約2万5千円、1割負担の方で約1万円です。お預かり金として入院時に3万円をいただいております。差額は退院時にお返しします。)

PSG検査装置を装着したところ

図説明:PSG検査装置を装着したところ


 PSG検査をすることにより、閉塞性睡眠時無呼吸症候群だけでなく、ナルコレプシーやむずむず足症候群、中枢性無呼吸などさまざまな疾患が診断でき、適切な治療に結びつけることができます。

CPAP治療

 無呼吸症候群のもっとも多い原因は閉塞性無呼吸といって、寝ている間に舌の付け根がのどの奥の壁におちこんでしまい、息が止まってしまうことです。CPAPとは、鼻に装着したマスクから空気を送りこむことによって、ある一定の圧力を気道にかけ、息の道がふさがれないようにする方法です。Continuous Positive Airway Pressureの頭文字をとってCPAP(シーパップ)と呼ばれ、いまや睡眠時無呼吸症候群(SAS)のもっとも重要な治療法となっています CPAPの器械は病院から貸し出します。空気圧が適正であるかどうか、などを見るために月に一度、必ず医療機関を受診していただきます。
 CPAPの治療費は、再診料を含めて3割負担の方は月約5千円1割負担の方は月約2千円です。

CPAPを装着して寝ているイメージ写真

図:CPAPを装着して寝ているイメージ写真。CPAP装置からでる風により、舌根部がもちあがり、息が流れるようすを図に示しています。





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